読書通帳⑧

読んだ本

・新装版 ムーミン谷の彗星(講談社文庫)
 https://www.moomin.co.jp/books/2407

内容と感想

実は44才で初めてのムーミンです。もちろんムーミンというキャラクタは知っていましたが、ストーリーは全く知りませんでした。アニメも観たことがなかったのです。で、なんで急にどうしたの?と思うわけですよね。

今、小5になる娘がいまして、その子がムーミンを読んでハマっておりまして、話題についていけるようにと読みました。

ムーミン谷の彗星は、童話チックな内容を想像していたらちょっと違っていて、少し怖い感じもあるストーリーでした。ムーミン谷に彗星が迫ってきて、それを調べるために天文台に向かって…

スニフやスナフキンもすべてが初登場ということで、とても新鮮な感じです。スノークのおじょうさんとムーミンの出会いも素敵でした。

年甲斐もなくムーミン谷は最後、どうなってしまうのだろうとハラハラしました。とはいえ、決してハラハラドキドキの連続で手に汗を握る、というものではなく、ムーミンの不思議な世界と愉快なキャラクタが、なんだかふんわりした気持ちにさせてくれる本です。

1日半くらいで読み終わったら、娘が「楽しいムーミン一家」を貸してくれたので、今読んでいます。

ちなみに

少し前に飯能のムーミンバレーパークにも行ったのですが、今行ったらもっと楽しいかもという気になっています。残念ながら休園していますが…

・ムーミンバレーパーク・メッツァビレッジ
 https://metsa-hanno.com/

読書通帳⑦

読んだ本

・[試して理解] Linuxのしくみ
 https://gihyo.jp/book/2018/978-4-7741-9607-7

内容と感想

Software Designで連載されている記事をまとめたものなのかな、と思って買いました。ボリューム的に雑誌連載をまとめたものよりも多い気がするので、お得な気分です。

プロセススケジューリング、メモリ管理、仮想記憶、ファイルシステム、ストレージデバイスの順で書かれていて、それぞれでLinuxがどのように振る舞うのかを、実験してみせてくれているのがとてもうれしいです。

いったん、全部に目を通した後、実験プログラムを追試験?してみています。ちゃんと理解しながらやろうと思っているので、それなりに時間がかかっていますが、その価値はあると感じています。

Linuxのより詳細については、Linuxカーネル2.6解読室やLinuxシステムプログラミングなどの方が詳しい印象ですが、Linuxマシンの運用が主体の私にとっては、この本の方が良かったです。

Software Designの連載は続いているので、この本も続編が出るのかな〜と期待しています。楽しみです。

ちなみに

実験プログラムの中身で、なんでこうしているのだろうとわからないところがあったので、Twitterで著者に質問したら、とてもフランクに回答してくださいました。

お尋ねしてすぐに回答をいただけるのはとてもうれしかったです。

読書通帳⑥

読んだ本

・アセンブラで読み解くプログラムの仕組み
 https://gihyo.jp/dp/ebook/2011/978-4-7741-4890-8

内容と感想

数年前に読んだことがあったのですが、そのときは「ふーん」くらいの感想で特に印象に残ってはいませんでした。

低レイヤを知りたい人のためのCコンパイラ作成入門 を読んで実際に関数を実装したところくらいでもうちょっとアセンブラを理解したいなと思って、再度読みました。

以前よりもアセンブラに慣れてきたからか、思ったよりさらっと読めたのと、内容も理解できた気がします。

アドレッシングや関数の呼び出しや引数の取り扱いは低レイヤを知りたい人のためのCコンパイラ作成入門 でやっている内容とほぼ同じ(ただし、低レイヤ〜がAMD64で、アセンブラで〜がx86なので、引数の渡し方が違ったりはしています。)だったので、本当にスッと理解できた気がします。
気だけかもしれません。

共有ライブラリのところが、低レイヤ本の方ではやっていないテーマのようで、共有するための工夫というか苦労というかあるのだな、と分かって面白かったです。

最後の「継続は続く」はもともと、継続をよく理解できていないので、やっぱりあまり理解できませんでした。

今度はSchemeの勉強かな。

ちなみに

次は、[試して理解] Linuxのしくみ を読む予定です。

家にいる時間が増えてきたので、しっかりと力をつけたいと思います!

読書通帳⑤

読んだ本を記録しておくエントリーです。

読んだ本

プログラマの数学
https://www.hyuki.com/math/

ただし、古本屋で買っていた初版の方です。

内容と感想

目次などは著者のページで公開されているとおりです。

プログラミングの基本となる数学をとても平易な文章で書かれていて読みやすいです。最近、ちゃんと本を読んでいなかったので読みやすいものと思って本棚から取り出して読んだのですが、正解でした。
※私は大学では一応理系だったので、数学が全くできないわけではないですが、それほど得意だったわけではありません。

最後の計算不可能な問題のところが不完全な理解のまま読み進めてしまったので、別の機会に改めて読み直した方が良いかも、という気がしています。

論理や数学的帰納法、再帰などはプログラミングする上で理解しているのとそうでないのとでは、だいぶ違ってくる気がします。そのあたりの理解の導入にぴったりな本だと思います。

最後に、読書案内がついているので、そこから何を読むと良いかもわかり安心ですね。ちなみに何冊かはすでに読んだものもありました。

ちなみに

これで結城さんの著書を読んだのは6冊目です。どれもとても良い本ばかりです。今までに読んだ本は以下のとおりです。

  • 増補改訂版 Java言語で学ぶデザインパターン入門
  • 増補改訂版 Java言語で学ぶデザインパターン入門 マルチスレッド編
  • 新版 C言語プログラミングレッスン 文法編
  • 暗号技術入門 第3版
  • 数学ガール

読書通帳④

読んだ本を記録しておくエントリーです。

読んだ本

ヤンキー化する日本
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%BC%E5%8C%96%E3%81%99%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC-%E8%A7%92%E5%B7%9Done%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%9E21-%E6%96%8E%E8%97%A4-%E7%92%B0/dp/4041107415

内容と感想

地元が福岡の筑豊地域だったので、ヤンキーはいっぱいいました。そういうこともあり、好き嫌いは別にしてヤンキー文化にはある程度、慣れ親しんでいるという自覚はありました。

この本によると、ヤンキー文化はかなり後半に浸透していて、ある意味では日本全体を覆っているという状況のようです。

ただし、私が感じていたヤンキー文化とこの本のヤンキー文化はやや定義が違うようで、この本の方がかなり広い範囲を包含するように感じました。
どちらかというと体育会系的なものもすべてヤンキー文化だし、ギャル文化とかもヤンキー文化という内容で、ちょっと幅広く取りすぎている気もしました。

ただ、その点を割り引いても、ある程度納得できる内容ではあると思います。

一方で、主として対談集という体裁のためか、細かい論理構成とかがなされているわけではないという印象も受けました。

最近だと、アメリカのトランプ大統領を支持するグループとかと日本のヤンキー文化の比較をしてみるとか面白そうだなという気がしました。
割と似ているんじゃないかという気がします。

割と気楽に読める本なので、一度読んでみると良いと思います。

読書通帳③

読んだ本を記録しておくエントリーです。

読んだ本

もじれる社会 -戦後日本型循環モデルを超えて 本田由紀

内容と感想

第1章から第5章までありました。各章が割と独立しているので、どこからでも読むことができると思います。全体通してもさっと読めるので、前から読むほうが良いとも思います。

著者は、戦後の日本型循環モデルが既に崩壊しているにもかかわらず、それを無理に維持しようとしていることが、さらに問題を深くしているというふうに考えているのかな、と感じました。

私も全く同感ですが、一方で、世の中をリードする層(政治家だったり大企業の重役だったり)は従来の日本型循環モデルの中で成功してきた人たちなので、それらの人にドラスティックな変革を期待するのは難しいのかな〜とも思います。

この本でも、以前に読んだアンダークラスと同様に、日本が階級社会とでも言えるような状態になっていて、階級間の分離が問題であると思っているようです。
そういう状態は確かにあって、同じ階級の中で閉じてしまっていて、異なる階級が不可視になってしまっていることで、問題が見えにくくなってしまっているというふうに思います。割と短期間に同じような内容の本を読んでいることから、自分の問題意識は、このあたりにあるんだな、と再認識しました。

東大の入学式での上野先生のスピーチが話題になりました。あのスピーチと通じる内容だと思います。私は、上野先生のスピーチはとても素晴らしいものだったと思っています。
平成31年度東京大学学部入学式 祝辞
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

第3章が、労働をテーマにした章で、個人的に一番気になったところでした。
労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎さんが述べていた「ジョブ型」と「メンバーシップ型」に触れて、ジョブ型への移行を目指すべきという内容でした。

私もメンバーシップ型の維持は限界にあると思っていて、ジョブ型への移行が必要だと思う一方で、終身雇用を前提としてきた中で急に移行できないというのも頷けます。やっぱり誰しも、自分の生活は大事なので。
ITエンジニアの世界では転職は割と一般的なようなので、技術がある程度はっきりと測定できるようになると、ジョブ型への移行が進むのかなぁと感じます。

社会への閉塞感を感じている人にとって、何が問題なのかを整理するためのきっかけになる本だと思いました。

読書通帳②

読んだ本

くわしすぎる教育勅語
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8F%E3%82%8F%E3%81%97%E3%81%99%E3%81%8E%E3%82%8B%E6%95%99%E8%82%B2%E5%8B%85%E8%AA%9E-%E9%AB%98%E6%A9%8B-%E9%99%BD%E4%B8%80/dp/4811808320

感想

第一部

精読と書いてあるとおり、逐条解説みたいな内容。
正直、思ったよりも詳しすぎて、びっくり。ただ、教育勅語はニュースとかで耳にするくらいでちゃんと読んだことがなかったので、全文を読めた上に逐条解説も知ることができたのは良かったです。

著者自身も教育勅語に否定的な見解をもっていると書いていますが、少なくとも解説には偏りはないと感じました。

第二部

「[始末] 来しかたとゆく末」というタイトルのとおり、教育勅語が制定(っていうのかな?)された経緯とかその後の扱いとかが書いてあります。

法律とかもそうですが、単に条文を字義どおりに理解するだけではなくて、どういういきさつがあって制定されたのかとか、作成者の意図とかそういうのもとても大事だと思いますが、教育勅語もそうなんだな、という印象を持ちました。

第三部

文献紹介です。研究したいわけではないので、ここはさらっと読み流しました。

まとめ

なんとなく教育勅語に対して賛成するにしろ、反対するにしろ、そのものを知るべきだなと思ったので手にとってみました。思いのほか、深い解説を得ることができたので読んでよかったと思います。。

読書通帳

読んだ本

・アンダークラス ─新たな下層階級の出現
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480071873

感想

新書だったので、割と気楽に読めると思っていたのですが、意外にしっかりした本でした。
内容がしっかりしているのは当然ですが、計量的なデータを用いながら階級社会の構造と動態を記述しようとしていて、気楽に読むという本ではないな、というのが感想です。

引用するデータは、主として2015年のSSM調査(「社会階層と社会移動全国調査」というそうです。)と、2016年首都圏調査(著者を中心とするグループによって実施された調査)でした。しっかりとデータを取って、そこをベースに議論する、というのは大事なことですね。

後半で、アンダークラスやその周辺のメンバの政治的な傾向などについての考察もありました。
議論のあるところだろうと思いますが、所得の再分配のあり方や、社会のあり方を考えていく上で、示唆に富む内容だと思いました。