はじめに
一つ前の記事で「アメリカ文学に親しんでいこうと思いました」と書いておきながら、ドイツ文学を読みました。エーリッヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」です。
感想
ギムナジウムの少年たちの成長の物語。20年以上前に大学生だった時分、1度読んだことがあったはずですが、全く覚えておらず。また、その当時は何が良いのかもピンときませんでした。
今回改めて読み直すと、少年たちがいろんな(といっても他人から見れば小さな)挫折や苦難に向き合いながら成長していくストーリーに引き込まれるようでした。
いくつかの山場がありました。
- 実業高校との決闘のシーンとその後の展開
- 禁煙さんと道理さんの再会のシーン
- ウーリが跳んだ瞬間
- マルティンが帰省できないと知ったときの落胆と道理さんの申し出
ドイツの寄宿学校というものをあまり知りません。それどころか、日本でもそういう経験がないため、ギムナジウムの文化的な背景を知らずに読みました。そのあたりがわかればもっと面白く読めたかもしれません。ところどころで、登場人物たちが「も・ち・ろ・ん」と言っている場面があります。おそらくこの中黒部分が少年たちの当時の言い方などを表現しているのだろうと思いながら、やはりそういう場面をしらないためにどうしても第三者的な視点で見てしまうことがありました。
とはいえ、現代とこの本が書かれた時代とでだいぶ違う点も多いと思われるため、現代的なギムナジウムを知っていたとして、そこは変わらないと思います。1936年刊行なので、ドイツが第二次大戦に向かう頃ですので、マルティンの父親の失業などもそうした背景を踏まえるとより理解できますね。
少年たちの成長の物語なんですが、それを見守る大人たち(特に禁煙さんと道理さん)が素敵なんですよね。私もそういう大人でありたいと願います。
おわりに
次はちゃんとアメリカ文学に戻る予定です。