はじめに
以前、トムソーヤーの冒険を読んだので続きだと思って読みました。
感想
ハックが父親に連れて行かれて小屋で生活を始めるところ、そこから逃亡してジムと出会うところ、その後ジムとともに筏での川下りを続けるところ、王様と公爵に振り回されるところ、トムに振り回されるところ、エンディング。どれもとても面白く一気に読み切ってしまいました。通勤の往復2回とちょっとだったので、だいたい4時間くらいで読み切ったですね。そのくらい引き込まれる作品でした。
まず、ハックが良いです。町では有名な不良なのですが、素朴でピュアな心をもっていますよね。特に当時の時代背景を踏まえるとジムと友情を交わしていくシーンは素敵だと思います。その後、ジムの逃亡を決意することは感動的なシーンですね。ハックは当時の教育を十分に受けていない少年として書かれていて、そのために、時代のくびきから自由になれたのかもしれませんね。
ところどころで、現代的な感覚でありえないような描写があります。大勢が詐欺師たちを「吊るし上げろ」と叫んだり、ファミリー間の決闘だったり、王様と公爵をリンチするシーン(ここは詳細にまでは記載されていませんが)など。現代よりももっと、命が軽く扱われていたのかなと思います。もちろんフィクションなので多少の誇張はあると思いますが、そういう描写が可能な程度の状況はあったのだろうと思います。そうした背景の中で生きていくたくましさのようなものも感じます。ハックの場合はしたたかさと言ったほうが良いのかもですね。
最後のトムとの脱走劇は、正直憤慨でした。物語に憤慨してもしょうがないのですが、ジムが自由の身であることを知った上で、どうでも良いカッコつけのためにあれやこれやの労力をかけて、あげくの果てに銃で打たれるわけですし。一歩間違えていたら死んでいたのかもしれないです。打たれたのがトムなので、まだ良かった。あれで、ジムやハックが打たれていたら最悪ですよね。もちろんフィクションだからそうはならないわけですが。ハックの素直なところが随所に出てくる分、トムはなんとなく嫌味な感じになってしまっている印象でした。
おわりに
アメリカ文学にはこれまで馴染みがなかったのですが、どれもおもしろい作品続きで、しばらくアメリカ文学に親しんでいこうと思いました。